更新日:2026年6月10日|カテゴリ:運用・トラブル

「NASって24時間つけっぱなしだけど、電気代大丈夫?」——NAS購入前・購入後によく聞かれる疑問です。

結論から言うと、家庭用2ベイNASの年間電気代は約2,000〜5,000円です。スマートフォンの充電器より少し多い程度で、思ったより安い印象を持つ方が多いです。ただし機種と設定によって大きく変わります。

この記事では、主要NASモデルのメーカー公式仕様(カタログ値)をもとに年間電気代を試算し、さらに電気代を大きく抑える節電設定も紹介します。

電気代の計算式

電気代の計算式はシンプルです。

年間電気代(円)= 消費電力(W)× 24時間 × 365日 ÷ 1000 × 電力単価(円/kWh)

電力単価は、公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が定める目安単価31円/kWh(2022年7月22日改定・税込)で計算します。実際の単価は電力会社・契約プランにより異なるため、検針票や契約中の料金表もあわせてご確認ください。

出典:全国家庭電気製品公正取引協議会「よくある質問(電力料金の目安単価)」


主要NASの公式消費電力と年間電気代(カタログ値)

各メーカーが公式仕様書で公表している消費電力と、24時間365日連続稼働した場合の上限目安の試算です。実測値ではなくカタログ値ベースで、HDDの種類・台数・アクセス頻度により変動します。

機種アクセス時HDD休止時月額目安年間電気代
Synology DS223j(2ベイ)16.31W4.00W約370円約4,400円
Synology DS224+(2ベイ)14.69W4.41W約330円約4,000円
QNAP TS-233(2ベイ)10.81W3.43W約240円約2,900円
UGREEN DXP2800(2ベイ)16.38W5.24W約370円約4,400円
Synology DS423+(4ベイ)28.30W8.45W約640円約7,700円
Synology DS923+(4ベイ)35.51W11.52W約800円約9,600円
QNAP TS-464(4ベイ)40.54W21.62W※約920円約11,000円

※各メーカー公式仕様のカタログ値(HDDフル搭載時の試験値)。月額・年間はアクセス時消費電力で24時間連続稼働した場合の上限目安(1kWh=31円)。HDD休止を活用すれば大幅に下がります(後述のシミュレーション参照)。TS-464の「※」はディスクスタンバイ時の公表値。Buffalo LinkStationシリーズは公式仕様が最大消費電力のみの公表のため、同条件比較ができず本表からは除外しています。


NASと他の家電の電気代比較

家電消費電力の目安年間電気代の目安
家庭用NAS(2ベイ)11〜17W2,900〜4,400円
Wi-Fiルーター10〜20W2,700〜5,400円
スマートフォン充電器5〜10W1,400〜2,700円
デスクトップPC(アイドル)50〜100W13,500〜27,000円
冷蔵庫(400L)平均30〜40W約8,000〜11,000円

NASはWi-Fiルーターと同程度の電力消費です。「24時間つけっぱなし」でも2ベイ機なら月240〜370円程度なので、データの安全・利便性を考えると費用対効果は高いと言えます。


省エネで電気代を抑える6つの設定

① HDDハイバネーション(休止)を有効化

SynologyのDSMやQNAPのQTSなど主要NAS OSには、一定時間アクセスがないとHDDの回転を止める「HDDハイバネーション」機能が搭載されています。アクセスがない時間帯はHDDが停止することで、消費電力をカタログ値で半分以下に抑えられるケースもあります。コントロールパネル内の電源管理メニューから設定可能です。

② 電源スケジュールを設定する

使用しない時間帯(深夜〜早朝など)は自動で電源OFF/ONするスケジュールを組むと、より大きな省エネ効果が見込めます。たとえば1日8時間のみ稼働させれば、24時間稼働時と比較して電気代を約3分の1に削減できる計算になります。ただしバックアップやリモートアクセスの予定がある時間帯はONにしておく必要があります。

③ Wake on LAN(WoL)を活用する

普段はNASを電源オフにしておき、アクセスが必要なときだけLAN経由で起動する方法です。スマートフォンアプリ(DS Finder等)からリモートで起動できます。毎日は使わない「保管庫」的な使い方なら、スケジュール停止との合わせ技で電気代を大きく抑えられます。

④ 省電力モードのHDDを選ぶ

NAS用HDDの中には、低回転(5,400rpm相当)で消費電力を抑えたモデルがあります。WD RedシリーズやSeagate IronWolfシリーズは、メーカー公式仕様でアイドル時2〜4W程度と省電力性能を明記しています。HDD台数が多い4ベイ以上のNASでは、HDD選びによる消費電力差が積み重なるため効果的です。

⑤ LEDの輝度を下げる

多くのNASにはステータスLEDの輝度調整機能があります。電気代への影響は小さいですが、寝室などに設置している場合は併せて設定しておくと、使い勝手も向上します。

⑥ ファン制御を「静音モード」に

NASの設置場所が涼しい場所であれば、ファンを「静音」「省電力」モードに変更することで、わずかですが消費電力を抑えられます。ただし夏場や密閉ラック内ではHDD温度が上がりすぎる恐れがあるため、温度モニタを併用しましょう。


節電設定を適用した場合の年間電気代シミュレーション

Synology DS223j(アクセス時16.31W・休止時4.00W)を例に、設定別の年間電気代を試算します。

設定パターン実効稼働年間電気代の目安
24時間フル稼働(HDD回転中心)8,760時間約4,400円
24時間稼働+HDD休止活用(アクセス8時間/日相当)8,760時間約2,200円
稼働16時間/日(夜間8時間オフ)5,840時間約3,000円
稼働8時間/日(16時間オフ)2,920時間約1,500円

HDD休止+スケジュール電源オフを組み合わせれば、年間1,100〜2,000円程度まで抑えることも可能です(終日休止時の下限は約1,100円)。


よくある質問(FAQ)

Q1. NASのHDDを1本にすると電気代は下がる?

はい、3.5インチHDD1本あたり約4〜6Wの消費電力があるため、2本→1本にすると年間約1,000〜1,600円節約になります。ただし冗長性がなくなるため、データ保護の観点から推奨はしません。

Q2. SSDに換装すれば電気代は下がる?

2.5インチSSDはHDDより消費電力が低い(約1〜3W)ですが、本体(CPU・ファン・基板)の消費電力が大部分を占めるため、節電効果は限定的です。年間数百円程度の差です。

Q3. 省エネモードにするとアクセスが遅くなる?

HDD休止中はアクセス時に起動(スピンアップ)待ちが発生し、初回アクセスに5〜15秒かかります。頻繁に使う場合は休止時間を長め(30〜60分)に設定するか、休止をオフにするのも一つの選択です。

Q4. NASは24時間つけっぱなしで大丈夫?

NASはもともと24時間連続稼働を前提に設計されています。NAS用HDDも長時間稼働を想定した公式仕様になっており、頻繁にON/OFFするより安定した稼働のほうがHDD寿命にも良いとされる傾向があります。電気代が気になる場合は、HDDハイバネーションやスケジュール電源OFFを活用しましょう。

Q5. 電源OFFと再起動を繰り返すと電気代は安くなる?

単純な電気代だけ見れば、稼働時間が短いほど安くなります。ただし起動時には突入電流が流れるため、頻繁なON/OFFはHDDや電源ユニットの寿命に影響する可能性があります。1日の中で長時間使わない時間帯にスケジュール停止する程度がバランスがよいでしょう。

Q6. UPS(無停電電源装置)は電気代に影響する?

UPS本体も常時通電されるため、わずかに電気代が増えます。家庭用UPSは平均5〜10W程度の消費電力が目安です。停電によるデータ破損リスクとのバランスで導入を検討してください。

Q7. クラウドストレージのほうが結局安いのでは?

月額の支払いだけで比べるとそう感じるかもしれませんが、長期間・大容量で見るとNASのほうが有利になりやすいです。たとえば2TBクラスのクラウドストレージを5年間使うコストと、NAS+HDD+電気代の合計コストを比較してみると、家庭用途ではNASが割安になるケースが多く見られます。料金は変動するため、最新の比較は各サービス公式ページでご確認ください。

Q8. ワットチェッカーで実測したほうがいい?

より正確に把握したい場合は、家庭用のワットチェッカー(消費電力計)でNASの実消費電力を測定するのが確実です。安価な製品が市販されており、コンセントの間に挟むだけで瞬間消費電力や積算電力量を確認できます。本記事の試算値はあくまでカタログ値ベースの目安としてご活用ください。

まとめ:電気代を理由にNASを諦める必要はほぼない

この記事の要点

  • 計算式は「消費電力(W)× 24時間 × 365日 ÷ 1000 × 31円/kWh」。ざっくり1Wあたり年間約272円と覚えると暗算しやすい
  • 2ベイNASの電気代は連続稼働でも月約240〜370円・年約2,900〜4,400円(公式カタログ値ベース)。4ベイ高性能機でも年1万円前後
  • HDDハイバネーション+電源スケジュールで年1,100〜2,000円程度まで削減可能
  • 数値はすべてメーカー公式仕様にもとづく試算。正確に知りたい場合はワットチェッカーでの実測がおすすめ

家庭用NASの電気代は、機種にもよりますが月額数百円〜年間数千円程度のケースが多く、クラウドストレージの月額料金と比べても十分に現実的な範囲です。HDDハイバネーションや電源スケジュールを活用すれば、さらにコストを抑えられます。本記事の数値はメーカー公式仕様(カタログ値)ベースの試算ですので、最新仕様や正確な消費電力は各メーカー公式サイトおよび実機の取扱説明書でご確認ください。