更新日:2026年6月11日|カテゴリ:ネットワーク・技術
結論:家庭用NASなら「RAID 1」または「SHR」を選べば失敗しません
RAID(Redundant Array of Independent Disks)は複数のHDDを組み合わせて速度や安全性を高める技術です。家庭用2ベイNASならRAID 1(ミラーリング)またはSynology SHRが最適。4ベイ以上ならRAID 5・SHR・RAID 6が選択肢になります。
選び方早見表:
①2ベイNAS → RAID 1(1台故障まで耐える、容量50%)
②4ベイNAS → RAID 5 または SHR(1台故障、容量75%)
③重要データ4ベイ以上 → RAID 6 または SHR-2(2台故障、容量50-67%)
④速度優先・冗長不要 → RAID 0(故障=全喪失、非推奨)
⑤異なる容量HDDを活かしたい → SHR(Synology Hybrid RAID)
⚠ 最重要ポイント:RAIDはバックアップではありません。誤削除・ランサムウェア・火災からは守れないため、必ずクラウドバックアップを併用してください。
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1. RAIDとは何か?3つの目的
| 目的 | 実現手段 | 対応RAIDレベル |
|---|---|---|
| ① 速度向上 | 複数HDDに分散書き込み(ストライピング) | RAID 0、RAID 10 |
| ② 冗長性(データ保護) | 同じデータを複数HDDに書く(ミラーリング・パリティ) | RAID 1/5/6/10 |
| ③ 容量拡張 | 複数HDDを1つのボリュームに統合 | JBOD、RAID 0/5/6 |
RAIDの語源
1988年に提唱された「Redundant Array of Inexpensive Disks(安価なディスクの冗長配列)」が起源。2000年代以降は「Inexpensive」が「Independent」に変更されました。
1988年に提唱された「Redundant Array of Inexpensive Disks(安価なディスクの冗長配列)」が起源。2000年代以降は「Inexpensive」が「Independent」に変更されました。
2. 主なRAIDレベル比較表(家庭・SOHO向け)
| RAID | 必要ディスク数 | 冗長性 | 容量効率 | 読み速度 | 書き速度 | 家庭用推奨度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| RAID 0 | 2台以上 | なし | 100% | 高速(n倍) | 高速(n倍) | × |
| RAID 1 | 2台 | 1台故障OK | 50% | やや高速(1.3倍) | 等速 | ◎ |
| RAID 5 | 3台以上 | 1台故障OK | 67-87% | 高速 | やや低速 | ○(4ベイ推奨) |
| RAID 6 | 4台以上 | 2台故障OK | 50-67% | 高速 | 低速 | ○(6ベイ以上) |
| RAID 10 | 4台以上(偶数) | 各ペアで1台 | 50% | 高速 | 高速 | △(高速重視) |
| JBOD | 2台以上 | なし | 100% | 等速 | 等速 | × |
| SHR | 2台以上 | 1台故障OK | 柔軟 | 高速 | やや低速 | ◎(Synology専用) |
| SHR-2 | 4台以上 | 2台故障OK | 柔軟 | 高速 | 低速 | ○(Synology専用) |
3. 各RAIDレベルの詳細解説
RAID 0:ストライピング(速度最優先・非推奨)
データを複数HDDに分割して書き込む方式。読み書き速度は飛躍的に向上しますが、1台でも故障するとすべてのデータが喪失するため、家庭用では絶対に避けるべき構成。動画編集などで「速度が最優先、データはバックアップ済み」な場合のみ選択。
RAID 1:ミラーリング(家庭用の王道)
✓ 家庭用2ベイNASのベスト選択
2台のHDDに同じデータを書き込む方式。1台故障してもデータが残るため最も安全。実効容量は50%(4TB×2で実効4TB)。書き込み速度は1台と同じ、読み込みは約1.3倍高速。
2台のHDDに同じデータを書き込む方式。1台故障してもデータが残るため最も安全。実効容量は50%(4TB×2で実効4TB)。書き込み速度は1台と同じ、読み込みは約1.3倍高速。
RAID 5:分散パリティ(4ベイ以上の定番)
3台以上のHDDにデータとパリティ(誤り訂正情報)を分散配置。1台故障まで耐える。4TB×4で実効12TB(75%)と容量効率が良い。ただし書き込み時のパリティ計算でやや速度低下。RAID 5は8TB以上のHDDでは2台目故障リスクが高いため、近年はRAID 6・SHR-2が推奨される傾向。
RAID 6:二重パリティ(大容量・高信頼)
4台以上のHDDに2重のパリティを配置。2台同時故障まで耐える最高水準の冗長性。大容量HDD(10TB以上)を使う場合に特に推奨。再構築中に2台目故障してもデータ保全。
RAID 10:ミラー+ストライプ(高速+冗長)
4台のHDDを「2台ミラー×2組」の構造で使用。読み書き両方が高速で、各ペアで1台故障まで耐える。ただし容量効率50%、動画編集・データベース用途で威力を発揮。
JBOD:単純結合(非推奨)
Just a Bunch of Disksの略。複数HDDを1ボリュームとして結合するだけで冗長性ゼロ。どれか1台故障でそのHDDに載っていたデータが喪失。容量拡張目的のみで、RAIDとは言えません。
SHR(Synology Hybrid RAID):柔軟な混在構成
💡 Synology独自の便利な方式
異なる容量のHDDを混在させて最大限容量を活用できる独自技術。例えば4TB+4TB+8TB+8TBの4ベイで、実効容量16TBまで活かせる(RAID 5だと12TB止まり)。家庭用途ではSHR-1(1台故障耐性)が実質的にRAID 5相当、SHR-2(2台故障耐性)がRAID 6相当として機能します。Synology専用機能で、他社NASでは利用不可。
異なる容量のHDDを混在させて最大限容量を活用できる独自技術。例えば4TB+4TB+8TB+8TBの4ベイで、実効容量16TBまで活かせる(RAID 5だと12TB止まり)。家庭用途ではSHR-1(1台故障耐性)が実質的にRAID 5相当、SHR-2(2台故障耐性)がRAID 6相当として機能します。Synology専用機能で、他社NASでは利用不可。
4. RAIDレベル別の具体構成例(2026年4月価格)
| NAS | 構成 | RAID | 実効容量 | 合計価格 |
|---|---|---|---|---|
| DS225+ | WD Red Plus 4TB×2 | RAID 1 | 4TB | 約83,000円 |
| DS425+ | WD Red Plus 4TB×4 | RAID 5/SHR | 12TB | 約161,000円 |
| DS425+ | WD Red Plus 4TB×4 | RAID 10 | 8TB | 約161,000円 |
| DS925+ | IronWolf 8TB×4 | RAID 6/SHR-2 | 16TB | 約226,000円 |
| UGREEN DXP4800 Plus | WD Red Plus 4TB×4 | RAID 5 | 12TB | 約165,000円 |
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5. ハードウェアRAIDとソフトウェアRAID
| 種類 | メリット | デメリット | 代表例 |
|---|---|---|---|
| ハードウェアRAID | CPU負荷軽減、専用バッテリー対応 | 高価、カード交換時にデータ移行困難 | エンタープライズNAS、サーバー |
| ソフトウェアRAID | 安価、OS間移植しやすい | CPU負荷、書込速度やや低下 | Synology・QNAP・UGREENの家庭用NAS |
2026年現在の家庭用NAS(Synology・QNAP・UGREEN等)はほぼ全てソフトウェアRAIDを採用しています。十分な性能と信頼性を持つため、家庭用途で問題ありません。
6. RAID運用の注意点(重要)
⚠ RAIDに関する7つの誤解・注意点
- RAIDはバックアップではない:ランサムウェア・誤削除・火災では全喪失
- 同一ロット購入は危険:同時故障リスクのため別店舗・別時期購入を
- RAID再構築中は性能低下:4TB HDDで約7〜10時間
- 再構築中の2台目故障でデータ喪失:RAID 5で特に深刻
- HDD混在は速度が遅い方に合わせる:RAIDは基本同容量・同規格で組む
- RAIDは容量効率を落とす:50-75%に目減り
- SMR方式HDDでのRAIDは非推奨:再構築が極端に遅く失敗する場合も
関連記事:CMRとSMRの違い
7. RAIDの「階層」と「ネストRAID」
RAID 10 ≠ RAID 1+0
厳密にはRAID 10は「RAID 1で組んだペアをRAID 0でストライピング」する2階層構造。よく似たRAID 0+1(ストライプをミラーリング)は障害耐性が大きく異なります。家庭用NASでは自動的にRAID 1+0で構成されるので意識不要です。
厳密にはRAID 10は「RAID 1で組んだペアをRAID 0でストライピング」する2階層構造。よく似たRAID 0+1(ストライプをミラーリング)は障害耐性が大きく異なります。家庭用NASでは自動的にRAID 1+0で構成されるので意識不要です。
8. 用途別おすすめRAID
✓ 家庭用(写真・動画バックアップ)
→ 2ベイ:RAID 1
→ 4ベイ:SHR または RAID 5
→ 2ベイ:RAID 1
→ 4ベイ:SHR または RAID 5
✓ SOHO・重要データ
→ 4ベイ:RAID 6 または SHR-2
→ 大容量10TB以上HDD使用時は必ずRAID 6/SHR-2で2台故障耐性を
→ 4ベイ:RAID 6 または SHR-2
→ 大容量10TB以上HDD使用時は必ずRAID 6/SHR-2で2台故障耐性を
✓ 動画編集・高速性優先
→ RAID 10 またはオールSSD + RAID 1
→ RAID 10 またはオールSSD + RAID 1
✗ 非推奨:RAID 0・JBOD
冗長性がない構成は家庭用途では避ける。速度が必要ならNVMe SSDを検討。
冗長性がない構成は家庭用途では避ける。速度が必要ならNVMe SSDを検討。
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9. こんな人にはRAIDの理解が重要
- 4ベイ以上のNAS購入を検討している方
- 仕事用データをNASに保存している方
- ディスク故障時の復旧方法を理解したい方
- 異なる容量のHDDを活用したい方(→ SHR推奨)
- RAID再構築中の動作を知っておきたい方
10. よくある質問(FAQ)
Q1. RAID 1とバックアップは同じ?
A. 全く違います。RAID 1は「ディスク故障」だけを防ぐ技術で、誤削除・ランサムウェア・火災では両ディスクに同じ被害が反映されます。必ず別メディア(クラウド・外付けHDD)へのバックアップを併用してください。
Q2. SHRとRAID 5、どちらを選ぶべき?
A. Synology NASならSHRが柔軟性で優位。異なる容量のHDDを混在できるため、段階的な容量拡張がしやすい。他社NASはRAID 5のみ。冗長性・速度はほぼ同等なので、SHR対応機ならSHRを選んで損なし。
Q3. RAID再構築にどれくらい時間がかかる?
A. 容量とHDD種類次第。目安はHDD容量1TBあたり約2時間。4TB HDDで7〜10時間、8TB HDDで14〜20時間。RAID 6の再構築はRAID 5の約1.5倍。SSDなら所要時間は5分の1程度。
Q4. RAID 5は本当に時代遅れ?
A. 8TB以上の大容量HDDではUBE(Unrecoverable Bit Error)確率が無視できないレベルになり、RAID 5再構築中に読取エラーで再構築失敗するリスクが上昇。大容量環境ではRAID 6・SHR-2推奨、4TB程度ならRAID 5も実用的です。
Q5. RAIDは後からレベル変更できる?
A. Synology DSMでは「ストレージマネージャー」でRAID 1 → SHR → RAID 5 → RAID 6のようにレベル移行可能(容量追加と同時に)。ただし数時間〜数日かかり、途中でエラーが出る可能性もあるため、事前バックアップ必須です。
なお、RAIDの再構築(リビルド)中はHDDに高い負荷がかかり、2台目の故障が起きやすいタイミングでもあります。再構築を始める前に、必ず重要データのバックアップが最新であることを確認してから作業しましょう。
まとめ:家庭用NASはRAID 1かSHRで迷わない選択を
この記事の要点
- RAIDは「速度・冗長性・容量拡張」の3目的の技術
- 家庭用2ベイはRAID 1、4ベイ以上はSHR/RAID 5/6が定番
- RAIDはバックアップではない→必ずクラウド併用
- 大容量HDDではRAID 6・SHR-2で2台故障耐性を
- SMR方式HDDはRAIDでの使用を避ける