更新日:2026年8月5日|カテゴリ:HDD・SSD・ストレージ選び

「HDDの商品ページにあるCMRとSMRって、結局なにが違うの?」
「いま使っているHDDがどっちなのか、どうやって調べるの?」

この2つに最短で答える記事です。結論から言うと、NAS・RAID用途ではCMRを強く推奨します。理由は「速いから」ではなく、書き換えが続いたときの失速と、RAID再構築(リビルド)中の挙動にあります。

30秒でわかる結論

  • CMR=トラックを重ねずに並べる従来方式。書き込み速度が安定する
  • SMR=トラックを瓦のように重ねる方式。容量を稼げるが、書き換えが続くと失速する
  • NAS・RAIDにはCMR。WD Red Plus/Seagate IronWolf/東芝N300は、いずれもメーカー資料でCMRと明記されている
  • 手持ちのHDDを調べたい人は、後半の「自分のHDDがCMRかSMRか調べる3ステップ」へ
比べる点CMR(従来型・NAS向き)SMR(瓦記録・NAS不向き)
記録の仕方トラックを重ねずに並べるトラックを瓦のように重ねる
得意なこと書き込み速度が安定する同じ設計でより多くの容量を積める
苦手なこと記録密度で不利になる書き換えが続くと大きく失速する
NAS・RAID◎ 推奨× 連続書込が続く用途に不向き
代表的な製品WD Red Plus/IronWolf/東芝 N300WD Red(無印)2〜6TB/BarraCuda 4TB・8TB/東芝 P300 4TB・6TB

CMRとSMRの違い:トラックを「並べる」か「瓦のように重ねる」か

HDDは円盤(プラッタ)の磁性面にデータを書き込みます。そのトラックの並べ方が両者の違いです。

CMRとは? トラックを重ねずに並べる従来方式

CMR(Conventional Magnetic Recording=従来型磁気記録)は、磁気トラックを重ねずに並べて書き込む方式です。Synologyは同社の表記でPMR(垂直磁気記録)と呼び、「磁気トラックは、オーバーラップせずに並べて書き込まれます」と説明しています。トラックが重なっていないので、どこを上書きしても隣のトラックに影響が出ません。書き込み速度が常に安定するのはこの構造のおかげです。

SMRとは? トラックを瓦のように重ねる高密度方式

SMR(Shingled Magnetic Recording=瓦記録)は、新しいトラックを、以前に書き込まれたトラックの一部にオーバーラップさせて書き込む方式です。屋根瓦(Shingle)のように重なることからこの名前が付きました。書き込みヘッドは読み出しに必要な幅より広く作られていて細くできないため、重ねて書くことでトラックの実効的な間隔を詰められ、同じ面積により多くの容量を積めるのが利点です(図の「ヘッド幅は同じ」がこの点です)。代わりに、重なった部分を上書きすると隣のトラックを巻き込むため、後述の「再編成」という手間が発生します。

出典:Synology ナレッジセンター「PMRおよびSMRハードディスクドライブとは?」(2026年8月5日確認)

CMRとSMRの記録方式の違い(断面イメージ):CMRはトラックが重ならず並び、SMRは瓦のように前のトラックへ重ねて書く
当サイトが作成したイメージ図です。トラックの幅や重なりの量は説明のために強調しており、厳密な縮尺ではありません。CMRはトラックが重ならないのでどこでも直接書き換えられ、SMRは重ねるぶん多く記録できる代わりに、書き換えると隣のトラックを巻き込みます。読み出しはどちらも同じ仕組みで、差が出るのは書き換えのときです。
項目CMR(Conventional Magnetic Recording)SMR(Shingled Magnetic Recording)
記録方式従来型。トラックを並列に配置トラックを瓦状に重ねる(瓦=Shingle)
書き込み特性常に安定した書き込み連続書込で「失速」が起きうる
上書き処理その場で直接上書きできる空き領域に書き、あとで古いトラックを整理する
アイドル時間不要再編成のためのアイドル時間が不可欠
ランダム書込性能常に安定再編成が追いつかないと低下する

SMRが遅くなるのはなぜ? いつ遅くなる?

「SMRは遅い」とだけ聞くと、常にのろい製品に思えてしまいます。実際はそうではなく、遅くなる条件がはっきり決まっています。仕組みはSynologyの解説がいちばん分かりやすいので、そのまま追いかけましょう。

  1. SMRドライブのデータを編集・上書きしても、書き込みヘッドは既存のトラックに直接上書きしません。新しいデータはディスクの空きエリアに書かれ、古いトラックは一時的に残ります
  2. HDDがアイドル状態になると「再編成モード」に入り、古いデータを消して領域を使えるようにします
  3. つまりアイドル時間がSMRドライブには不可欠です。読み書きが頻繁に続くと再編成の時間が取れず、新しいデータの書き込みと古いトラックの再編成を同時に行うことになり、全体の読み書き性能に悪影響が出ます

読み出しは影響を受けません。Synologyも「新しいデータがSMRドライブに書き込まれると、パフォーマンスに影響を与えることなくトラックを完全に読み取ることができます」と書いています。問題になるのは、大量の書き換えが休みなく続く場面です。RAIDの再構築や、数百GB単位のバックアップがまさにそれにあたります。

Synology公式が名指しで挙げている注意点

同ページの「注意」欄には、次の一文があります。RAIDがPMR(CMR)とSMRの両方のドライブで構成されている場合、上書きのタスクを行うときに、SMRドライブによって全体の読み書き性能が影響を受ける可能性がある。「CMRとSMRを1台ずつ混ぜる」構成が推奨されない一次根拠です。

東芝も、SMR技術について「連続的なランダム書き込み実行にあたり、HDDのデータ書き込み性能が低下する可能性があります」と公式にアナウンスしています。メーカー自身が認めている挙動であって、ユーザーの体感談ではありません。

出典:東芝デバイス&ストレージ「SMR(瓦記録)技術を採用したコンシューマ向け内蔵ハードディスクについて」(2020年4月28日)(2026年8月5日確認)

性能はどのくらい違う? メーカーはSMRを「保管用」と位置づけている

CMR側は各社がデータシートで転送速度を公表しています。WD Red Plus(全容量CMR)の内部転送速度(最大)は次のとおりです。

型番容量内部転送速度(最大)回転数キャッシュ
WD40EFZZ4TB180MB/s5400rpm128MB
WD40EFPX4TB180MB/s5400rpm256MB
WD60EFPX6TB180MB/s5400rpm256MB
WD80EFPX8TB215MB/s5640rpm256MB
WD120EFGX12TB260MB/s7200rpm512MB

出典:WD Red Plus データシート(2025年9月版・英語・PDF)。同データシートは WD20EFPX〜WD120EFGX の全11型番について「Recording technology:CMR」と明記しています(日本語版はWD Red Plus 製品概要(2025年3月版・PDF)。ただし WD40EFZZ は英語版のみに収録)。12TBは同じ容量でも型番でキャッシュが変わり、同データシートではWD120EFGXが512MB、WD120EFBXが256MBと記載されています(当サイトが確認した範囲で、いま買えるのは前者です。販売情報はWD公式 製品ページ)。いずれも2026年8月5日確認。

一方、SMR側の「失速したときに何MB/sまで落ちるか」は、当サイトが確認した範囲でメーカーが公表していません。ネット上には「数MB/sまで落ちた」という報告が多数ありますが、条件が書かれていないものがほとんどで、そのまま数値として引用できません。当サイトはCMR/SMRの転送実測をまだ行っていないため、ここで具体的な失速幅の数字は書きません

判断材料として使えるのは、次の2つの「メーカー自身の言葉」です。

  • 東芝:SMRは「連続的なランダム書き込み実行にあたり、データ書き込み性能が低下する可能性がある」
  • Seagate:SMRは「シーケンシャル、または容易にシーケンシャル化できるワークロード」に最も適する(バックアップ層やアーカイブ用途を例示)

つまりメーカー自身がSMRを「書きっぱなしの保管用」に位置づけているわけで、家族の写真を毎日出し入れするNASの想定用途とは噛み合いません。数字を並べるより、この位置づけのほうが判断には効きます。

出典:Seagate「CMR and SMR Hard Drives」(2026年8月5日確認)

自分のHDDがCMRかSMRか調べる3ステップ

ここがこの記事の本題です。すでに持っているHDDでも、これから買うHDDでも、手順は同じです。

先にひとつ注意:ソフトでは自動判定できません

記録方式は S.M.A.R.T. の項目に含まれていません。WDは自社のSMRを「DMSMR(デバイス管理型SMR)」と呼んでおり、ドライブ内部のファームウェアが処理を隠す設計です。そのため「診断ツールを走らせればCMRかSMRか分かる」という近道はありません。型番を調べて、メーカーの公式資料で照合するのが確実な手順です。

ステップ1:型番を調べる

まずは正確な型番(WD40EFZZ のような文字列)を手に入れます。

  • PCに直結しているHDD:Windowsなら無料の CrystalDiskInfo がモデル名を表示します
  • Synology NASの中のHDD:DSMのストレージマネージャー→「HDD/SSD」でモデル名を確認
  • QNAP NASの中のHDDストレージ&スナップショットの「ディスク/VJBOD」から確認
  • これから買う場合:商品ページのタイトルや仕様欄にある型番をそのまま控える

Synology NASでの見え方は下のとおりです。

DSMのストレージマネージャーのHDD/SSD一覧で、モデル列にWD80EFPX-68C4ZN0と表示されている画面
当サイトのDS223jの実画面。ストレージマネージャー → HDD/SSD の一覧を表示すると、モデル列に WD80EFPX-68C4ZN0(WD Red Plus 8TB)と出ます(2026年8月5日確認)。WD公式データシートに載っているのは先頭の「WD80EFPX」までなので、記録方式の照合はその部分で行います。

一覧表示に切り替えると、上の画面のようにモデル名のほかドライブサイズ・温度・ファームウェアのバージョンも同時に確認できます。型番さえ控えれば、あとはステップ2の公式資料に当てるだけです。

診断ツールの選び方や、USB変換アダプタ経由だと読めないことがある注意点はNAS用HDDの初期チェック手順で詳しくまとめています。

ステップ2:メーカー公式の記録方式リストで照合する

型番が分かったら、メーカー公式の一次資料に当てます。ここが競合サイトのまとめ記事と最も差が出るところで、販売ページの表記ではなくメーカーの資料を見るのが原則です。

メーカー見るべき公式ページそこで分かること
Western DigitalSteps to Determine if an Internal Drive uses CMR or SMR TechnologyWDが公式に案内している判別手順そのもの。①2018年より前に製造されたWD/HGSTのHDDはCMR(ドライブラベルの製造日で判断)②現行モデルは製品別データシートの「Recording technology」欄を見る、の2段構え。WD Blue・Black・Gold・Purple・Red・Ultrastarの各データシートへのリンクが張られている
Western DigitalWD Red Internal HDD SMR and CMR NAS Drive InformationRedの3ラインの線引き。WD Red(無印)=SMR(DMSMR)/WD Red Plus=CMR/WD Red Pro=CMR
SeagateCMR and SMR Hard Drivesシリーズ×容量で明記。BarraCuda 3.5インチは4TB・8TBがSMR、12TB以上がCMR。IronWolf/IronWolf Pro/SkyHawkにはSMRの記載なし
東芝SMR(瓦記録)技術を採用したコンシューマ向け内蔵ハードディスクについてSMR採用モデルを型番で名指し。P300 4TB(HDWD240UZSVA)・6TB(HDWD260UZSVA)/L200 1TB・2TB。あわせて「NAS用のN300シリーズには現在SMR技術を採用したモデルは提供していません」と明記(2020年4月28日時点の公表)

上記4ページはいずれも2026年8月5日に当サイトで存在を確認しました。東芝のページは2020年4月28日公表の内容で、その後の追加モデルは反映されていない可能性があります。最新の個別型番は各製品ページの仕様欄で確認してください。

ステップ3:NAS本体メーカーの互換性リストで最終確認する

記録方式が分かったら、仕上げにNAS本体側の互換性リストに載っているかを見ます。載っていれば方式だけでなく、そのNASでの動作実績まで確認できて二重に安心です。Synologyも前掲のSMR解説の中で「HDDを購入する前に、Synology製品互換性リストを参照してください」と案内しています。

リスト外のドライブは、動いてもトラブル時のサポートが限定的になる場合があります。Synologyの互換性ポリシーの現状はSynology NASのHDD互換性で整理しています。

▼ 迷ったらこれ:WD Red Plus 4TB(WD40EFZZ・CMR・5400rpm・メーカー保証3年)

型番早見表:主要シリーズのCMR/SMR

ステップ2で照合した結果を、家庭用NASで名前が挙がりやすいシリーズに絞って一覧にしました。

メーカー/シリーズ方式主な型番根拠・備考
WD Red PlusCMRWD20EFPX / WD40EFPX / WD40EFZZ / WD60EFPX / WD60EFZX / WD80EFPX / WD80EFZZ / WD100EFGX / WD120EFGXデータシートの「Recording technology」欄が全型番CMR。NASの鉄板。※WD40EFZZは日本語の製品概要(2025年3月版)には未掲載ですが、英語版データシート(2025年9月版)に4TB・CMR・128MB・5400rpmとして収録されています
WD Red(無印)2〜6TBはSMRWD20EFAX / WD30EFAX / WD40EFAX / WD60EFAXWD公式が「DMSMR」と明記(対象は2〜6TB。8TB以上の無印RedはCMR)。2020年問題の当事者でRAID非推奨
WD Red ProCMRWD2002FFSX / WD4003FFBX / WD4005FFBX / WD6003FFBX / WD6005FFBX / WD8003FFBX / WD8005FFBXデータシートの「Recording technology」欄が全型番CMR。多ベイ・高負荷向け(5年保証)
WD Blue混在容量・型番で異なる当サイトは型番別の公式一覧を確認できていません。WDの判別手順ページから該当モデルのデータシートを開いて確認してください
Seagate IronWolfCMRST4000VN006 / ST6000VN006 / ST8000VN002Seagate公式一覧にIronWolfのSMR掲載なし(2〜16TB全容量がCMR欄)
Seagate IronWolf ProCMRST10000NT001 / ST12000NT001同一覧で2〜24TBがCMR、28TB以上はHAMRのCMR。5年保証
Seagate BarraCuda4TB・8TBはSMRST4000DM004(4TB・SMR)Seagate公式一覧が容量で区別。12TB以上はCMR=「BarraCuda=全部SMR」は誤り
東芝 N300CMRHDWG440 / HDWG740 / HDWG480 / HDWG21CN300データシートの「記録方式」欄が全モデルCMR。加えて東芝公式が「N300にSMR採用モデルは提供していない」と明記(2020年4月時点)
東芝 P3004TB・6TBはSMRHDWD240UZSVA(4TB) / HDWD260UZSVA(6TB)東芝公式がSMR採用モデルとして型番を名指し。デスクトップPC向けでNAS用ではない
Synology Plus HDDCMRHAT3300-2T / -4T / -6T(8TB以上は HAT3320-8T / HAT3310-12T / HAT3310-16T / HAT3320-20T)純正ブランド。2TB・4TB・6TBが5400rpm、8TB以上は7200rpm

2020年「WD Red SMR混入事件」を忘れずに

2020年4月、Western Digitalが WD Red(無印)2〜6TBモデルにSMRを採用していたことが発覚しました。仕様に明記がないままNASで使われた結果、RAIDのリビルド失敗が相次いで報告され、米国では集団訴訟に発展しました。約270万ドルでの和解に至り、WDは一定期間パッケージ上でSMRであることを開示することに同意したと報じられています(同社は不正を認めていません)。

その後、WDは 「Red Plus」(全容量CMR)「Red」(SMR) にブランドを分離しました。2026年8月時点では、国内の主要通販で無印WD Red(2〜6TBのEFAX型番)の新品在庫を見かけにくくなっていますが、中古・並行輸入・在庫処分としてEFAX型番が出回る可能性は残ります。型番を見る習慣をつけておくのが安全です。

⚠️紛らわしい例外がひとつ:Amazon.co.jp限定のWD Red Plus(エコパッケージ・型番末尾「-AJP」)は、商品名に「EFAX-AJP」と旧表記を含む場合がありますが、中身はCMRのRed Plusです。「EFAX=SMR」が当てはまるのは無印WD Redの2〜6TBだけで、WDは「WD Red 2TB-6TBはDMSMR、8TB-14TBはCMR」と説明しています。商品名に「Red Plus」「CMR」の併記があれば、EFAX表記でもCMRです。

出典:Blocks and Files「Western Digital admits 2TB-6TB WD Red NAS drives use shingled magnetic recording」(2020年4月14日)Tom's Hardware「WD Moves to Settle SMR HDD False Advertising Class Action Lawsuit」(いずれも2026年8月5日確認)

SMRはNASに使ってもいい? 用途別の判断

「SMRは絶対にダメ」ではありません。書き換えが少なく、アイドル時間がたっぷりある使い方なら実用になります。逆に、NASのRAIDはSMRがいちばん苦手な条件が揃う場所です。

用途推奨方式理由
NAS(RAID 1/5/SHR)CMRリビルド時に長時間の連続書込が発生する
NAS(単体、RAIDなし)CMR推奨24時間稼働では書き込みが途切れにくい
デスクトップPCの起動ドライブCMR書込頻度が高く、待たされる場面が増える
USB外付けHDD(写真・動画の倉庫)SMRも可読み出しメインなら影響が出にくい
監視カメラ録画(24時間書込)CMR(SkyHawk/Purple等の専用CMR)連続書込の失速を避けるため
バックアップ保管(月1回書込)SMRも可書込の合間に再編成の時間が取れる

CMRのメリット

  • 書込性能が常に安定していて、RAIDに向く
  • 上書き時に再編成の待ちが入らない
  • リビルド中も速度が読める
  • メーカーがNAS向けとして検証・保証している

CMRのデメリット

  • 同容量あたりの価格が高い(差額は容量帯・時期で大きく変わります)
  • 同じプラッタ枚数で作れる容量ではSMRに劣る

SMRのメリット

  • 同容量で安いことが多い
  • 面密度が高く、同じ設計でより大きな容量を作れる(東芝はニアラインHDDで、CMR方式24TBに対しSMR方式28TBを発表しています)
  • 書きっぱなしのアーカイブ用途では十分に実用的

SMRのデメリット

  • 大量の書き換えが続くと性能が低下する(メーカー自身が明言)
  • 再編成のためのアイドル時間を必要とする
  • RAIDにSMRが混ざると、上書き時に全体の読み書き性能が影響を受ける可能性がある(Synology公式)
  • 同じシリーズ内でCMR/SMRが混在するため 型番判別が必要

東芝のニアライン容量の出典:東芝デバイス&ストレージ「CMR方式で24TB、SMR方式で28TBを実現」(2024年9月10日)(2026年8月5日確認)。データセンター向けの例で、家庭用モデルの容量差ではありません。

代表的なNAS向けCMRモデル

方式の確認が済んだら、あとは容量と予算で選ぶだけです。家庭用NASで名前が挙がる定番を並べます。

モデル型番容量回転数キャッシュ・特徴
WD Red PlusWD40EFZZ4TB5400rpm128MB/2026年8月時点では旧定番のWD40EFPX(256MB)が品薄
WD Red PlusWD60EFPX6TB5400rpm256MB/家族写真・動画の定番
WD Red PlusWD80EFPX8TB5640rpm256MB/1TBあたり単価では有利な容量帯
Seagate IronWolfST4000VN0064TB5400rpm256MB/Rescueデータ復旧3年付帯
Seagate IronWolfST6000VN0066TB5400rpm256MB/Rescueデータ復旧3年付帯
東芝 N300HDWG740 / HDWG4404TB7200rpm512MB(HDWG440は256MB)/7200rpmで高速・発熱はやや大
Synology HAT3300HAT3300-4T4TB5400rpm256MB/Synology NASで完全サポート

この表では価格を載せていません。HDDは2026年に入って値上がりが続いており、月単位で実勢が変わるためです。容量別の最新相場と買い時はHDD値上がりはいつまで?NAS用の相場と買い時、モデルごとの実売価格つき比較はNAS用HDDのおすすめ比較をご覧ください。

▼ 「壊れたときに自力で復旧できる自信がない」ならこちら:Seagate IronWolf 4TB(ST4000VN006・CMR・5400rpm)— 物理故障時のRescueデータ復旧サービスが3年間付きます(in-lab復旧1回まで・復旧を保証するものではありません。バックアップの代わりにはなりません)

よくある質問(FAQ)

Q1. SMRのHDDはNASに使えますか?
A. 物理的には認識されて動きます。ただしRAIDを組むNASにはおすすめしません。SMRは古いトラックを整理するためのアイドル時間を必要とし、書き換えが続くと性能が落ちるとメーカー自身が説明しているためです。Synologyも、RAIDにCMRとSMRが混在していると上書き時に全体の読み書き性能が影響を受ける可能性があると注意しています。単体で使うUSB外付けや、月1回書き込むだけのバックアップ保管なら実用的です。
Q2. 自分が使っているHDDがCMRかSMRか調べる方法は?
A. 型番を調べて、メーカー公式の資料で照合します。型番はWindowsならCrystalDiskInfo、SynologyならDSMのストレージマネージャー、QNAPならストレージ&スナップショットで確認できます。そのうえで、メーカー公式ページで照合します。WDは「判別手順ページ」(製品別データシートの「Recording technology」欄)、Seagateは「CMR and SMR Hard Drives」、東芝は「SMR(瓦記録)技術を採用したコンシューマ向け内蔵ハードディスク」です。記録方式は S.M.A.R.T. の項目に含まれないため、診断ソフトだけで自動判定することはできません。
Q3. SMRはなぜ、どんなときに遅くなるのですか?
A. SMRは上書き時に既存トラックへ直接書かず、空き領域に書いて古いトラックを後で整理します。この整理(再編成モード)はHDDがアイドル状態のときに行われるため、読み書きが休みなく続くと整理が追いつかず、書き込みと再編成が同時進行になって性能が落ちます。逆に言えば、書き込みが途切れる使い方なら失速しにくいわけです。RAIDのリビルドや数百GB規模のバックアップは、まさに失速しやすい条件が揃います。
Q4. すでにSMRのWD Red(EFAX)を買ってしまいました。どうすべきですか?
A. 単体のUSB外付けHDDとして使うか、NASのバックアップ保管庫として単体で使うのが現実解です。RAID 1/5の構成には組み込まず、別PC用の週次バックアップ先として活用しましょう。すでにRAIDで運用中なら、早めのCMR交換を検討してください。交換手順はDS223jでのHDD交換で実機の流れをまとめています。
Q5. CMRとSMRで体感差はどのくらいありますか?
A. 数MB程度の小さいファイルを単発でやり取りするだけなら、違いを感じにくいのが正直なところです。差が出るのは、①4K動画など数十GB以上の連続転送、②PC全体の数百GBバックアップ、③RAIDのリビルド(数TB)といった、書き込みが長時間止まらない場面です。当サイトはCMR/SMRの転送実測をまだ行っていないため、具体的な秒数・MB/sの比較はここでは提示しません。
Q6. RAIDにCMRとSMRを混ぜて使ってもいいですか?
A. おすすめしません。Synologyの解説ページには、RAIDがCMR(PMR)とSMRの両方で構成されている場合、上書きのタスクを行うときにSMRドライブによって全体の読み書き性能が影響を受ける可能性がある、と明記されています。せっかくCMRを1本入れても、遅いほうに引っ張られる構成になります。
Q7. CMRのほうが高いですが、払う価値はありますか?
A. NASでRAIDを組むなら、あります。差額は容量帯と時期で大きく変わりますが、性能というより「リビルドが問題なく終わること」への投資と考えるのが現実的です。一方で、外付けHDDに写真を放り込んで置いておくだけの用途なら、SMRの安いモデルで十分です。用途が変われば答えも変わるので、「NASのRAIDに入れるかどうか」で線を引いてください。

まとめ:NASのRAIDに入れるならCMR

CMRとSMRの結論

  • CMR=トラックを並べる/SMR=瓦のように重ねる。違いは書き換えの重さに出る
  • NAS・RAID用途はCMRを強く推奨。メーカー自身がSMRをアーカイブ向けと位置づけている
  • NAS用CMRの定番:WD Red Plus/Seagate IronWolf/東芝 N300(いずれも公式資料でCMRと明記)
  • 手持ちのHDDは型番→メーカー公式リストの順で照合する。診断ソフトでは判定できない
  • 型番の目印:EFPX / EFZX / EFZZ / FFBX / VN006 / HDWG / HAT3300
  • 単体USB外付けや月1回のバックアップ保管なら、SMRでも実用上は問題ない

「安いほうを買って大丈夫か」で迷ったら、そのHDDをRAIDに入れるかどうかだけ考えれば答えが出ます。RAIDに入れるならCMR、外付けで読み出し中心ならSMRでも構いません。型番さえ控えておけば、この記事のステップ2で5分もかからず確認できます。

方式が決まったら、次は「どれを何TB買うか」

▼ 「4TBだと数年で足りなくなりそう」なら最初から容量を取る:WD Red Plus 6TB(CMR・5400rpm/WDの型番は WD60EFPX-AJP)— NASは後からの容量追加がRAID再構築込みで一番手間になります。※商品名の「WD60EFAX-AJP」はAmazon限定エコパッケージの旧表記で、中身はRed Plus(CMR)です